見習いAIエンジニアの進捗

学んだことをアウトプット

初期人類が常習的な直立二足歩行を獲得した理由

初期人類が、チンパンジーとの共通祖先から分岐し、常習的な直立二足歩行を獲得した理由は現在でも様々な説が存在する。今回はいくつかの学説を紹介し、その長きに渡る議論について自分なりに考察してみる。

 

単純に力学的に効率が良いからなのか?

まず、二足歩行の方が四足歩行より移動効率が良いとする説である。

一般には二足動物は四足動物の2倍のエネルギー消費を必要とするが、チンパンジーについては二足歩行と四足歩行でエネルギー効率が変わらないという研究結果がある。そしてヒトは必ずしも全ての四足動物より効率が良い訳ではないが、チンパンジーよりは効率よく二足歩行が可能である。それゆえ、すでに類人猿がナックルウォークを獲得していれば、そこから二足歩行に進化するのは合理的である、という説がある。(注1)

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出典:一般社団法人 アースメイト・チンパンジーNEXT

http://c-next.jp/gariarchive/archive_tsukiichimp.html

 

しかし、最近の研究ではヒトがナックルウォークから直立二足歩行に進化したという説を否定するような学説がある。仮にナックルウォーク歩行仮説が正しいとすれば、それを示すようなチンパンジーやゴリラと共通の骨格発生パターンがあるはずだが、ヒトは他の霊長類とは全く異なる発生パターンをしていた。(注2)

また、オランウータンが樹上で手を補助的に使用して二足歩行しているケースから、ヒトの祖先も同様に樹上生活の時点で二足歩行に適応していたという説もある。(注3)

これらの移動効率の説では、「何のために移動効率を上げる必要があったのか」があまり考えられていない。単に「力学的に移動効率が良かったから」だけでは、進化の方向性が積極的というよりは偶発的に決まってしまったかのように思える。何か直立二足歩行に進化した方が生存しやすかった理由があるのではないだろうか。

 

何のための二足歩行か?

そこで、「物を運ぶために移動効率の良い直立二足歩行を獲得した」という説を考えたい。京都大学霊長類研究所の論文によると、「限られた資源を独占するために、1回にできるだけ多くの資源を持ち運ぼうとして、われわれの祖先は4足ではなく立ち上がって2足で歩くようになった」という主張がある。

この研究ではチンパンジーの行動を、

(a)アブラヤシだけが手に入る条件

(b)アブラヤシに加えてクーラがほんの少量ある条件

(c)アブラヤシよりもクーラがたくさんある条件

に分けて観察している。ここで、アブラヤシは実験場ではどこにでもあるナッツで、クーラはほとんど存在しないため次にいつ手に入るか分からないナッツである。(c)ではアブラヤシは全く無視してクーラだけを運んでいたため、チンパンジーにとってクーラの方が好物だということが分かった。そして(b)では一回でクーラをたくさん運ぼうとし、チンパンジー同士での競争が熾烈になった。結果として、こうした競合場面ではチンパンジーは(a)の場合に比べて二足歩行を4倍行なっていた。(注4)

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このように食料を確保するために直立二足歩行に適応した、という方が自然淘汰の視点から考えると分かりやすい。

 

体温調節にも都合が良かった

移動効率以外の学説では、「頭を冷やすため」という説がある。樹上から降りて草原で長距離を移動するようになると、四足歩行では赤道地帯の日差しを受けて体温上昇が避けられないため、日光を受ける表面積を減らすために直立した、という説明である。(注1)

これに関連して、「元々季節によって樹上生活と地上生活を気温によって変えていたため、長い乾季で森林が後退しても地上生活に適応できた」という説が最近の研究で主張されている。(注5)これは「人類は開放的な地上生活を始めた時に二足歩行を始めた」というサバンナ仮説に対する反論でもある。

 

結論

このように人類の常習的な直立二足歩行の進化に関して様々な学説が存在するが、以上をまとめると私なりの考えは以下である。

 

・元々初期人類は樹上生活の中でも部分的に二足歩行を行なっていた

・実は気温変化に応じて地上にも降りていた

・乾季で森林が後退したため地上生活の割合が増えていった

・地上で生活する上で、元々樹上でも行なっていた二足歩行に一層適応した方が、力学的な効率だけでなく、体温調整、索敵、物体の運搬などの面からも合理的だった

 

従来ではサバンナ仮説などの非連続的で互いに独立した説が多かったようだが、最近の研究ではそれらを結びつけるような成果が出てきている。ヒトは四足歩行から段階的に直立二足歩行に変えていき、その適応が結果的に様々な点で理にかなっていた、という流れが一番腑に落ちる。

 

【参考文献】

(注1)Craig Stanford UPRIGHT The Evolutionary Key to Becoming Human (クレイグ・スタンフォード 長野敬・林大(訳)(2004) 直立歩行 進化への鍵 青土社

(注2)Naoki Morimoto, Masato Nakatsukasa, Marcia S. Ponce de León & Christoph P. E. Zollikofer (2018)「Femoral ontogeny in humans and great apes and its implications for their last common ancestor」Scientific Reports

(注3)Natasha Pinol (2007)「Lessons from the Orangutans: Upright Walking May Have Begun in the Trees」Science

(注4)Susana Carvalho, Dora Biro, Eugenia Cunha, Kimberley J. Hockings, William C. McGrew, Brian G. Richmond, Tetsuro Matsuzawa(2012)「Chimpanzee carrying behaviour and the origins of human bipedality」Current Biology Volume 22, Issue 6, R180-R181

(注5)Hiroyuki Takemoto (2017). Acquisition of terrestrial life by human ancestors influenced by forest microclimate. Scientific Repor

スラム街クラファン企画の炎上を文化人類学の視点から考察してみた

駒場文化人類学の授業で、13回もかけて「文化人類学者が行うフィールドワーク」について学んだ。レポート課題も「人類学的フィールドワークについて思うところを述べよ」というテーマだったので、今回は例のクラファン企画について書いてみたので載せてみる。

(たまには人文科学系の論文を読むのも楽しかった)

 

大学生のクラウドファンディングによるスラムツーリズム企画がSNS上で炎上したことを受けて

事の発端は2018年7月3日、CAMPFIREというクラウドファンディングサイト上で、近畿大学の学生3名が投稿した以下の企画である。

 

   「スラム街の暮らしを肌で感じたい!」。男子学生3人は、こんなタイトルで「CAMPFIRE」のサイト上で、自らのプロジェクトについてアピールした。その呼びかけ文によると、3人は、2018年の夏休みの1週間、マニラのスラム街を訪れて、子供達と交流したいという。「子供達は、外部の人との交流が少なく遊びも限られ毎日単調な日々を過ごしています」として、自分たちが子供達に夢を与えたいとした。具体的には、子供達に日本語や日本の遊びを教えたり、フィリピンの遊びを一緒に行ったりすることを挙げている。(注1)

 

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news.livedoor.com

 

この企画には様々な点から批判される箇所が見出せるが、本エッセイではこのようなボランティア活動やスラムツーリズムと比較することで、人類学的フィールドワークの意義を改めて考えることにする。

 

フィリピンの貧困問題について

まずはフィリピンの貧困問題の実態について知る必要がある。

フィリピン政府は国内の貧困率を下げるために「4Ps」(フィリピン家庭架け橋プログラム)という政策を実施している。子供を学校に通わせたり、定期健診を受けさせたりすることを条件に、貧困家庭に現金を給付することで「人的資本への投資」を促す制度である。しかし実態としては、学校に継続的に通えない事情があったり、学校に通うこと自体が遅れたりすると条件を満たせず、むしろ負担の方が大きくなるため、自主的な受給拒否が問題となっているようだ。 [関 2013]

このようにフィリピン政府の施策では貧困に苦しむ子供たちを救えていないという現実がある。

そこでフィリピン国内のNGOは、子供の就業支援、子供や親への教育、グループホームの運営、食事や衛生面の改善、犯罪組織に対する安全な場の提供、薬物からのリハビリなどの支援を行なっているが、活動の継続には国内外からの支援が必要なようである。日本からは例えば、関西福祉大学が物資の援助や奨学金基金の創設を行なっている。直接現地で支援することも重要だが、日本からの支援の拡充も考えられる。[濱西 2013]

以上のように、すでに現地では様々な施策が行われているが、依然としてフィリピンの貧困問題は解決できていない。とは言え、現在フィリピンはASEAN主要国の中では高い経済成長率を誇っており、労働人口の増加も甚だしく、まさに高度経済成長期の真っ只中にいる。その一方で、農村部や都市部のスラムでは富裕層との経済格差が深刻化しているという状況である。

 

ボランティア、スラムツーリズムの参加者と現地住民の関係

ボランティア活動を行っているNGO/NPO団体についての論文によると、例えば海外ボランティアがベジタリアンの子供に対して「No meat no life」と言って辛い思いをさせたり、挨拶としてのキスによって動揺させたり、裸で水浴びする子供たちの写真を撮ってウェブ上にアップしたりと、異文化に対する理解の乏しさから問題が生じているようである。そのため、海外ボランティアと現地住民の双方に規則を設けて対策をしているようだ。[岸 2014]

ボランティアはその性質上、現地住民の生活に介入しなければならない。そのため、ボランティアをする人間には異文化の理解や相応の良識が求められる。大学が教育目的でボランティア活動を行なわせている場合が多いようだが、事前の研修を入念に行わないと、現地の受け入れ団体の負担が増すばかりで、むしろ逆効果となる場合も考えられる。

ではスラムツーリズムの場合はどうか。一部のメディアや研究者は「貧困を商品化し搾取するもの」と批判しているが、実際の観光客はわざわざ高い旅費を払って学びに行く意識の高い層が多く、決して物見遊山的感覚での参加ではないようだ。また現地住民側としては、彼らを共に地域の問題について考えてくれる「共感者」として見る一方、「一時的なお客さん」としても認識しており、冷静な眼差しを向けているようである。また、ツアー参加者は現地で金を使って経済効果をもたらすとされているが、その効果は非常に限定的である。むしろ問題なのはツアー参加者と現地住民の関係ではなく、メディアや研究者が乏しい実証データで議論していることだ。[矢野 2015]

スラムツーリズムでは参加者はボランティアほどの介入はせず、短期間で現地の実情を見学しに行く、というパッケージツアーである。確かにWeb検索をすると、スラムツーリズムがタブーであるという言説も見かけるし、今回の近畿大学の学生の安易なクラウドファンディング企画も批判されている。しかし、自費でわざわざ参加する旅行者ほど真摯な態度を取り、現地住民もそういった旅行者に対して冷静で友好的な態度を取るようだ。外部の人間からするとフィールドでも現地住民にとってはホームなのだから、謙虚で真摯な姿勢が取れない人間はこのようなツアーに参加してはならないと言える。

 

フィールドワーカーと現地住民の関係

文化人類学者にとってフィールドワークは切っても切れないプロセスだが、それはあくまで調査であって、現地住民に対して何かを与えに行くことが主目的ではない。自身の積極的な介入によってフィールドに影響を与えてしまっては、客観的に「知る」ことが難しくなってしまうからだ。しかし、調査をさせてもらう上で何も還元せずに一方的に居座り続けてしまっても、信頼関係を築けず、重要な情報を住人たちから抽出することが困難になり、調査として質の低いものになってしまうだろう。そこで、フィールドワーカーが現地住民とどのような関わり方をしているのか、以下のような事例を見つけたので紹介する。

まず、発掘調査で現地住民を雇用し、さらに現地に博物館を建設することで継続的な雇用機会を還元しているケースがある。[大貫 2000] このように目に見えて現地に大きな経済的価値を還元できるのは、研究に対する資金が大きい場合に限るようである。

また、新潟県の「角突き」という闘牛の伝統文化を研究していたフィールドワーカーの事例が特に興味深い。震災復興という名目で政府系のコンサルが統合型牛舎を立派に立て直そうと計画し、住民も最初は賛同していたのだが、「角突き」は本来個々の牛舎ごとに違った牛が育つからこそ面白みがあったということを研究者自身が意見し、結局その計画は見直された。さらに、動物愛護管理法の改正により、「角突き」文化の存在が危ぶまれていることを現地住民が知らなかったため、まずはそれを住民に伝え、研究者自身も公式の場で愛護法改正委員会に意見し、伝統文化を守ることができた。[床呂 2015]

このようにフィールドワーカーが介入して現実が変わるのは、あくまで「結果」であって「目的」ではない。本来、フィールドワークを介入のために利用するのは危険だが、これを重々理解した上で、現地の人々が望む現実を「知る」だけでなく、共に「創る」ことは実践として可能であるようだ。

 

結論

現地住民との関わり方について、大学の教育目的としてのボランティアやスラムツーリズムは、短期的かつ異文化理解についてアマチュアである一方、フィールドワーカーは長期的かつ異文化理解のプロである。また、介入を主目的とするボランティアに対し、スラムツーリズムとフィールドワークは介入を第一の目的とせず、「知る」ことから始めている。クラウドファンディング企画で炎上した学生たちは、フィールドを謙虚に「知る」ことより先に、そもそも望まれているのかも分からない彼らの定義上の“夢”を一方的に、かつ一週間という短期間で、しかも上から目線で「与える」という態度を取ってしまったことが失敗の理由ではないだろうか。植民地支配のために利用されていた文化人類学の歴史をその成り立ちから学べば、少なくとも先進国から来た調査者の方が優位で、途上国の被調査者は劣っていて可哀想、という“夢”からは覚めるだろう。

 

参考文献

注1)近畿大生3人「スラム街の暮らしを肌で」企画炎上で大学から指導

livedoorNEWS, 2018年7月5日 (最終閲覧日: 2018年7月7日)

http://news.livedoor.com/article/detail/14967767/

2)関恒樹(2018)「スラムの貧困統治にみる包摂と非包摂」アジア経済,54, 47-80

3)濱西誠司(2013)「フィリピンの貧困およびストリートチルドレンに対するNGOの取り組み」ヒューマンケア研究学会誌, 5, 65-68

4)岸磨貴子、吉田千穂(2014)「海外ボランティアを受け入れるNGO/NPOの動機と受け入れ体制の変化」多文化関係学, 11 ,53-66

5)矢野響子(2015)「住民の視点から見るスラムツーリズム ーフィリピン・パヤタス地区を事例としてー」(未公刊)

6)大貫良夫(2000)『アンデス「夢の風景」』中央公論新社

7)床呂郁哉(編著)(2015)『人はなぜフィールドに行くのか フィールドワークへの誘い』東京外国語大学出版会

「乳酸は疲労物質」と未だに書いているWebメディアを調べてみた

大学のレポートで、『世間では乳酸についてどれだけ正しく理解されているのか』について調べたので、記事にしてみました。

 

まず、このようなサイトを見つけた。

 

乳酸が疲労物質であると提唱したのは、イギリスのノーベル賞受賞学者アーチボルドビビアン・ヒルです。

彼とその研究者たちは、1929年に発表した論文において、 運動によって体内に乳酸が作られ、 それが蓄積することにより疲労につながるという理論を発表しました。

彼がノーベル賞受賞者であったため、 この理論は疑われることなく、 彼の生徒や学術者を始め多くの人々に指示され続けました。

 

『乳酸は疲労物質?』

乳酸は疲労物質?

 

どうやら20世紀のノーベル賞受賞者が「乳酸は疲労物質である」と提唱したため、長い間世間で誤解され続けたようである。これについてGEヘルスケアジャパン株式会社という企業のサイトに、「乳酸は疲労物質」と提唱されて世間に広まっていった流れについて言及されていたので、以下のようにまとめてみた。

 

・1907年、ケンブリッジ大学のウォルター・モリーフレッチャーとフレデリック・ガウランド・ホプキンズが、嫌気的条件下で電気刺激によって動かした両生類の筋肉に、乳酸が蓄積することを示した

・1929年、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで働いていたアーチボルドビビアン・ヒルが、カエルの筋肉や血漿を使って乳酸を測定し、疲労の原因は乳酸であるとの仮説を提唱した

・1976年、ワシントン大学のロバート・フィッツとジョン・ホロジーは、カエルの筋肉を使って、筋肉の収縮の強さと乳酸の量の継時的な変化を調べた。彼らは、疲労による収縮力の低下と、乳酸の蓄積に、強い直線関係があることを示した

・1983年、ニュージーランドの有名な長距離走のコーチであるリディアードが出版した書籍の中で、乳酸は運動選手のパフォーマンスにも、健康にも悪いと説明した

 

GEヘルスケアジャパン株式会社 ライフサイエンス統括本部 美しすぎる相関が生んだ思い込み』

www.gelifesciences.co.jp

 

しかし、これらの研究で示されているのは、

代謝によって乳酸ができる反応系」だとか、

「筋肉の収縮が低下するのと乳酸の量が比例している」といった、

疲労が乳酸によるものであるという因果関係を直接示したものではなかったようである。

つまり、相関関係を因果関係と誤解し、100年近くも誤った説が浸透してしまったということである。また、この時期に行われた他の研究では、筋肉の収縮低下と、ATPの減少や無機リン酸の増加、ADPの増加、ホスホクレアチンの減少といった変化の相関も観察されていたようだが、なぜか疲労の原因は乳酸という結論になってしまっている。やはり権威が主張した説に迎合する風潮は、当時にもあったのだろうか。科学分野においてそのような誤りが忖度によって訂正されてこなかったという歴史は、決して目を背けてはならない事実である。

 

さて、個人のブログ等や独自のエセ医学による通販サイトが、私利私欲のために「乳酸悪者説」を21世紀にもなって提唱し続けることは、ある程度仕方のないことかもしれない。しかし、大企業やTV番組がエセ医学によって国民を騙すこと(時に無自覚かもしれないが)は、その影響力を鑑みると看過することはできない。

江崎グリコ株式会社のスポーツマン向けWebメディア、「POWER PRODUCTION MAGAZINE」を見てみるとこのような記事があったので抜粋する。

 

○疲れがとれないときに食べたい食べ物

ビタミンB2

タンパク質・脂質・糖質の代謝乳酸などの疲労原因物質を取り除くのに必要。

・ベータカロテン・ビタミンC・ビタミンE

活性酸素疲労物質(乳酸)を除去する食べ物を積極的に摂りましょう。

・豚肉

ビタミンB1が不足していると糖質の代謝が不完全となり、乳酸が発生し、疲労や筋肉痛につながります。

 

cp.glico.jp

 

大手企業のメディアがこのようなことを書いて良いのだろうか。調べてみると、専門家による監修はなく、ライターも非公開になっており、参考文献や引用についても全くの不明である。つい最近もヘルスケアのWebメディアがずさんな記事を量産することで問題になっていたばかりなのに、このような体制には非常に疑問を感じる。

 

他にも調べてみると、ベンチャー企業の運営するヘルスケアメディアでこんな記事があった。

 

クエン酸で素早い疲労回復を

クエン酸を摂ると体内にあるクエン酸回路が活発化。クエン酸回路は糖質、脂質をエネルギーに変換する役割を持っており、疲れの原因である乳酸の分解もしてくれます。

 

『トレLAB』

training-lab.jp

 

上記のように、はっきりと「疲れの原因である乳酸」と言い切ってしまっている。

 

しかしながら、このようなメディアも見受けられる一方、「乳酸 疲労」で検索すると、意外と「実は乳酸は疲労物質ではない」というサイトも多い。実際、検索上位に上がっているものに関してはこのように書かれているようだ。Googleアルゴリズムによって間違った記事は上位に上がらないようにしているのだろうか。

 

このように少なからず「乳酸悪者説」は払拭されてきているようだが、

有象無象の情報で溢れている現代において、研究者は勿論、企業や消費者もこういった誤った知識を鵜呑みにせず、客観的に判断する科学リテラシーが要求されることを強く自覚すべきである。

授業では他にも「脂肪分解をするお茶はダイエットには効果がない」という話があったが、売り手側は手を変え品を変え、消費者の不安を煽り、一見革新的な解決策を提示して扇動してくる。

そういった話に惑わされ、思考停止して飛びつかないよう、常に情報には懐疑的な態度を取ることを忘れないようにしたい。

 

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渋谷に2年住んでみて思うこと

大学のレポートで「渋谷の空間デザイン」についてせっかく書いたので、記事として載せてみます。

 

僕は中高6年間、渋谷から2駅の麻布学園に通っていて、大学に入ってからは渋谷に住み始めて今年で3年目になる。僕にとっての渋谷はいつまで経っても未完成で、騒々しく果てしない変化を続ける街である。本当に工事は終わるのか。最早工事をしていない渋谷は渋谷と言えるのか。常に人が入り乱れて眠らないこの街は、落ち着かないことこそがアイデンティティとなってしまっている。

渋谷再開発における空間のデザインコンセプト案を読んでまず気づいたことは、2027年の自分は、ローカルな渋谷もユニバーサルな渋谷もどちらも享受できる年齢ということである。そこで、大人も若者も楽しめる渋谷の空間デザインについて、渋谷在住の僕なりに考えることにする。

www.city.shibuya.tokyo.jp

 

⑴スパ、温泉などのリラックスできる施設を作る

恵比寿方面に明治通りを10分程度歩くと銭湯が一軒あるが、渋谷には他にスパや温泉といったものがない。水道橋のスパラクーアや、台場の大江戸温泉物語のような半分テーマパーク化したゆったりとできる温泉施設があれば年配の人でも楽しめるだろうし、飲み会で終電を逃した若者もスパで一夜を過ごすならリフレッシュできるだろう。こういった都内の施設は入場料が3000円程度かかって割高だが、渋谷でくつろげるスペースを買うという意味では十分需要はあると考える。

 

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⑵図書館を増設する

渋谷東に一応図書館はあるが、使い勝手があまり良いとは言えない。広尾にある有栖川記念公園内の都立中央図書館のような規模の図書館を作れば、渋谷に落ち着いた空間を確保できる。ちょうど代々木公園ならユニバーサル空間として適しているので、NHKや代々木体育館のあたりに大きな図書館を作ってはどうだろうか。代官山の蔦屋書店×スターバックスコーヒー、スクランブル前の蔦屋書店×WIRED CAFÉ、道玄坂のBOOKLABCAFEのような、書店とカフェの融合が最近とても人気なので、図書館内にカフェを併設すれば幅広い年齢の人々にとってより良い空間になると考える。

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⑶シブチカをさらに便利にする

地上の移動は横断歩道の信号待ちや人の多さで時間のロスとストレスが酷く、本来条例違反であるはずの居酒屋のキャッチや怪しい宗教の勧誘もしつこい。また、雨の日は地面から跳ね返る水が汚くて不快である。そこで、僕はよく近道として地下道を利用している。明治通りの新南口から109までショートカットができるので、大変便利だ。この地下道をもっと渋谷全体に張り巡らせれば、より快適に渋谷の施設間を移動できるし、ハロウィンや年越しの騒ぎの時も迂回路が確保できる。理想としては、道玄坂宮益坂の頂上や、神泉や原宿、代々木公園などにも接続できる地下道があれば渋谷の楽しみ方が何倍にも増えるだろう。今回の空間デザインコンセプト案では地下の活かし方についてあまり言及されていなかったので、このようなユーザー目線の視座も取り入れて欲しいと感じた。

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⑷スポーツ施設の充実

中野体育館や東板橋体育館では毎日競技場を個人向けに一般開放しており、例えばバレーボールやバスケットボールなどはその場で集まった個人同士でチームを組んで楽しめる。渋谷にはすでに個別的でopenで動的なアクティビティとして卓球、ボルダリング、カラオケや、代々木公園の屋外スポーツ施設は充実しているが、その場で老若男女関わらずチームを作って楽しめる屋内スポーツ体験というのは実は乏しい。安価で身体を動かせる場を渋谷駅付近に作ることができれば、また一つ新しい渋谷の楽しみ方が増えるだろう。

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⑸南側を大手企業、道玄坂ベンチャー企業の中心地として一層強化

新南口付近で現在工事中の渋谷ストリームには2019年に六本木ヒルズからGoogleが移転してくる。道玄坂には数々のベンチャー企業が生まれている新太宗ビルを始めとした多くのオフィスが存在する。渋谷は謂わばシリコンバレーのようなイノベーションの中心地となっていて、まさに若者と大人の中間のような熱のある人種が集まる街として一層発展させていけば、渋谷全体が今以上に活気付き、新しい居場所が作られることだろう。また、渋谷ストリームは渋谷ヒカリエと合わせて、六本木ヒルズ東京ミッドタウンのようなオフィスビルかつ街のシンボルとしての機能も果たすことになるだろう。

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以上のように、渋谷自体を一つのブランドとして捉え、重なり合う自分の居場所を見つけるための新しい空間デザインに活かしたらどのようなアイデアが考えられるか挙げてみた。誰にとっても渋谷が今以上に居心地の良い素敵な街になることを願う。

ビジネス職長期インターンを2年近く転々として分かったこと3選

こんにちは、はぎわらです。

 

ビジネスの世界を全く知らなかった僕は、東大(理2)に入ってからの2年間、片っ端からベンチャー企業の人と会ってはインターンとして関わったり、ビジコンやゼミに参加したり、合説や業界の勉強会に行ったり、個人的にイベントを開いたり、起業に関わったり、とりあえず手探りで色々な事をやってみました(そんなことをしていたら履修登録を忘れて大変なことになった)。

その中でも今回は、大学生にとっては実態が分かりにくい長期インターンについてぶっちゃけた話を書こうと思います。

先に結論から言います。

 

結論

  1. ビジネス職長期インターン大半がクソ。
  2. 良いビジネス職インターンのやり方は、優良ベンチャー6ヶ月間くらいフルコミットすること。逆にそれ以上はコミットしてはいけない。
  3. インターン紹介はGoodfindが一番オススメ。

 

1. ビジネス職長期インターン大半がクソ。

「圧倒的成長ができる」「ビジネスに必要なスキルが身につく」「新規事業を立ち上げられる」

インターン斡旋業者の募集ページにはこんな謳い文句で溢れています。

しかし、その実態は低賃金で単純労働をさせられるだけです。

例えば僕が経験したもので言えば、

  • スプレッドシートにデータを打ち込む
  • Webメディアの記事にアフィリエイト広告を貼り付ける
  • 都内のスーパーを回って相場を調査(交通費なし)
  • テンプレメールを送り続ける

別にこれらの仕事は普通のバイトだと思えば悪い訳ではありません。就職してからもこういう仕事はやらなければならないだろうし、新規事業を立ち上げることはこういう地味な作業の積み重ねだということも分かります。しかし、募集ページや面接の時は「主体的に動ける」「成長できる」と言いながら、実際は頭を使う仕事は皆無で、このような単純作業を延々とさせられるだけでした。

さらに酷いのは、これらの単純作業しかさせない上に、無給で働かせるベンチャー企業がざらにあるということ。内定に直結した大手企業の短期サマーインターンなら分かる。でもベンチャーの長期インターン「修行」と称してタダ働きさせるのは労働基準法違反じゃないのか。思い出しただけでも腹が立つ。

 

とにかくビジネス職長期インターンにはハズレが多い。なので、これはクソだなと思ったらすぐにフェードアウトすることが学生生活の一つのライフハックと言えます。

 

一方でエンジニア職の長期インターンは、エンジニア志望の学生としては避けて通れない道です。それについてはまた別の記事にしたいと思います。

 

 

2.良いビジネス職インターンのやり方は、優良ベンチャー6ヶ月間くらいフルコミットすること。逆にそれ以上はコミットしてはいけない。

2年近くで10社近くのベンチャー企業と関わってきました。なのに大した成長も実感できず、ビズインターンの可能性に諦めかけていた頃、「斡旋業者を変えて、それでもダメだったらもう文系職はやめよう」と決めて、最後にたどり着いたのがP社でした。

P社は今までのベンチャー企業とは何もかもが違っていて驚きました。

  1. 勤怠管理がしっかりできている
  2. 初出勤日にMacbookproとディスプレイが貸与される
  3. 施策の意思決定をさせてくれる
  4. キャッチアップのための時間を設けてくれる
  5. 業界の最新情報やPCスキルも逐一教えてくれる
  6. 話したい上長と1on1ミーティングを行える
  7. 福利厚生が充実
  8. 各部署のリーダーが同世代でみんな優秀
  9. 立場に関係なくフラットに発言できる(むしろ発言する責任がある)

 

会社は学校じゃねぇんだよ、というベンチャー企業のドラマが今放送されていますが、ここまで手厚く教育してくれる環境があったとは思わなかった…。

そして上記の点を一言でまとめると、

インターン生を新卒社員として扱ってくれる』

という事に尽きます。

僕としてはここまで期待して機会投資をしてもらったのに、会社に対して十分なバリューを出せたかと言われると、正直自信はありません。しかしインターンで学んだことや、インターン生の心構えとして得られた知見はたくさんあったので、それはまた別の記事で書こうと思います。

 

で、そんな最高の優良企業で7ヶ月間フルコミットし、今年4月いっぱいで退職してきました。

長期インターンというのは、

良くも悪くも『新卒1年目の先取り』でした

優良企業に出会えれば学生のうちにとても良い実践経験が積める一方、いずれ就職したら1年目でできる経験でもあります。

なのでインターンで得たいものが「進路選択のための経験」だとしたら半年程度で十分だと考えるようになり、退職に至りました。

勿論、バイトとして続けるという選択肢も考えたのですが、マーケティングの仕事をやればやるほど人を動かすためには数字が必要と感じ始め、データサイエンスを一刻も早く勉強したいと思うようになりました。

また、周りの優秀な文系社員の後を追うだけでは、自分の理系としての強みを活かせない。学問に挑戦できる機会は学生の今のうちだ、と強く思ったことも理由の一つです。

そんな話を中高同期のAIエンジニアの友人にしてみたら、いきなり論文のウィークリー勉強会に誘われ、ディープラーニングの勉強もするようになった、という感じです。

 

3.インターン斡旋業者は現状Goodfindが一番質が高い。

別にGoodfindの回し者ではないんですが、ここは丁寧に個別面談をしてくれて、自分にあった優良企業を紹介してくれます。P社もここの紹介でした。

複数の企業から声がかかっても代わりにお断りの連絡までしてくれるので、とてもありがたかったです。

また、長期インターン生のコミュニティもあり、月に何回か勉強会や交流会を開いてくれて至れり尽くせりでした。

「東大のはぎわらが良いと言っていた」と伝えれば良くしてくれると思います(多分)。

www.goodfind.jp

 

今後の目標

夏になったらAIエンジニア、あるいはデータサイエンティストとしてのインターンを始めたいです。

その前にまずは、今月中に自分で論文を読めるようになることが目標。

夏休みには何かしらのフレームワークを覚えてサービスを世に出したい。

 

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【初心者向け】『ゼロから作る Deep Learning』要点まとめ

前置き

AIエンジニア、データサイエンティストを目指してブログに勉強記録を綴っていくことにした。

 

深層学習を勉強していく上で将来的にボトルネックになるのは、

フレームワークの運用」ではなく「理論の理解」

らしいので(実際共感している)、まずはブラックボックス化したフレームワークを学ぶ前に、理論の理解に時間をかけようと思い、深層学習の入門書として『ゼロから作る Deep Learningを友人のAIエンジニアから薦められたため、当該書を一週間かけて読んでみた。

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本当にゼロから理解できる内容で、今後何度も立ち返ることになりそうな良書だったので、整理して要点をまとめようと思う。

なお、数式やコードは本を参照すれば良いので、ここでは定性的な理解を言語化することに留める。

 

 

www.oreilly.co.jp

 

前提知識

  • 最低限の大学数学
  • Pythonとライブラリの基本操作
  • 機械学習の基本手法

 

 1章:Python入門

  • 基本的なPythonの文法
  • Numpyの扱い方
  • Matplotlibの扱い方

この章に関しては簡潔すぎるので、機械学習の基本を身につけるなら他の書籍で勉強した方が良い。

scikit-learnでとりあえず実装に慣れたいならこれ。

www.oreilly.co.jp

 

 

2章:パーセプトロン

  • 単層パーセプトロンでは線形領域しか表せないので、AND、ORゲートのみ表現できる
  • 2層にすれば非線形領域も表せるので、XORゲートを表現できる
  • 多層パーセプトロンによって理論上コンピュータを表現できる
  • 電気回路における「抵抗」は電流の”流れにくさ”、パーセプトロンにおける「重み」は信号の ”流れやすさ” に対応している

パーセプトロンは、脳神経の信号伝達の仕組みを数理モデル化したものと解釈できる。

大学のモデリングとシミュレーションの授業で「ライフゲーム」によるコンピュータの表現を学んだが、このように視覚化されないと「0と1の出力の集合によってコンピュータが表現できる」と言われてもあまり腹落ちしない気はする。

参考動画↓

www.nicovideo.jp

 

この後出てくるニューラルネットワークの最小単位がこのパーセプトロンなので、ニューラルネットで詰まったらこの章に立ち返る。

 

3章:ニューラルネットワーク

  • NNは適切な重みパラメータを ”自動で” 学習できる
  • 一つのニューロンの内部には、前層からの出力結果aと、活性化関数によって変換されたy=h(a)が含まれる
  • 活性化関数は最近ではシグモイド関数よりReLU関数が主流になっている
  • 活性化関数には線形関数を用いてはならない
  • 出力層の活性化関数は、回帰問題では恒等関数分類問題ではソフトマックス関数を使う
  • ソフトマックス関数の出力はそのまま「確率」として解釈できる
  • one-hot表現とは、例えば [0,0,0,0,1,0,0,0,0] のように正解ラベルのみ1で、それ以外は0で表記する方法
  • 分類問題では、出力層のニューロンの数と分類するクラスを対応させる
  • コンピュータは小さい行列を少しずつ計算するより、大きい行列を一気に計算する方が高速になる。そのためのまとまった入力データをバッチと言う

 

4章:ニューラルネットワークの学習

  • 訓練データの中からランダムに一部のデータ(=ミニバッチ)を取り出し、その損失関数の和を小さくすることが目的
  • 損失関数はNNの "性能の悪さ" の指標
  • 損失関数としては、「2乗和誤差」「交差エントロピー誤差」がよく使われる
  • 各重みパラメータの勾配を数値微分によって算出し、損失関数が小さくなる方向に重みパラメータを更新していく(=学習)

 

5章:誤差逆伝播

  • 計算グラフを使えば、計算過程を視覚的に理解できる
  • 出力層から入力層に向かって、偏微分演算子に注目して連鎖律から逆向きに計算する
  • 構成要素をレイヤとして実装することで、内部をブラックボックス化し、レイヤの出力と入力から効率的に勾配を計算できる

 

6章:学習に関するテクニック

  • パラメータの更新方法として、一番単純な確率的勾配降下法(SGD)では効率が悪いことがある
  • Momentumは物理学の減衰運動を模倣したモデルで、ボールがお椀を転がるような動きをする
  • AdaGrad学習係数の減衰を考えるモデルで、過去全ての勾配の2乗和を記憶している。そのため、初めは大きく、徐々に小さく学習していくが、無限に学習するといずれ更新量は0になってしまう
  • RMSPropはAdaGradの改良版で、過去の勾配情報は次第に忘れ、新しい勾配情報を大きく反映する
  • AdamはMomentumとAdaGradの融合版
  • 重みの初期値はランダムに設定しないと均一になってしまう
  • 活性化関数の後の出力データ(=アクティベーション)は、重みの初期値によって変化する。
  • アクティベーションシグモイド関数によって0と1に偏る分布になると、勾配消失してしまう。一方、標準偏差を小さくしてまとめても分布が偏り、「表現力の制限」が起きる。これでは層をディープにする意味がなくなる
  • 「Xavierの初期値」「Heの初期値」を使うと上手くいくことがあり、ReLU関数を使う場合に特化している
  • Batch Normalizationは、入力されたミニバッチを「平均0、分散1に正規化」するBatch Normレイヤを中間層に挟むことで、学習を高速化し、重みの初期値にロバスト(=頑健)になる

 

  • 過学習抑制のために、Weight decayとDropoutが使われる
  • 過学習は重みパラメータが大きな値を取ることで起きる
  • Weight decay(荷重減衰)は損失関数に重みのL2ノルムを加えることで、重みが大きくなることを抑える
  • しかし、複雑なNNではWeight decayでは対応が難しくなる
  • Dropoutニューロンをランダムに消去し、過学習を抑える

 

  • データセットは「訓練データ」「検証データ」「テストデータ」に分けられる
  • 訓練データは、パラメータ(重みやバイアス)の学習に使う
  • 検証データはハイパーパラメータ(人の手で設定した値)の性能評価のために使う
  • テストデータはモデルの汎化性能を評価するために(理想的には一度だけ)使う
  • NNのハイパラ最適化では、規則的な探索であるグリッドサーチより、ランダムサンプリングした方が良い結果になる

 

 7章:畳み込みニューラルネットワーク

  • 全結合層(Affineレイヤ)では、1次元配列にして計算をするため、データの形状が無視されてしまい、形状に関する重要な情報が損なわれてしまう
  • 一方、畳み込み層(Convolutionレイヤ)では形状を維持したまま計算ができる
  • CNNでは畳み込み層の入出力データを特徴マップと呼ぶ
  • 畳み込み演算では、入力データとフィルターの積和演算を行う。CNNでは、このフィルターのパラメータがこれまでの「重み」に対応する
  • CNNでは、バイアスは1×1のデータで、フィルター適用後の全ての要素に加算される

 

  • 出力サイズを調整するためにパディングとストライドを行う
  • パディングは、入力データの周縁に値0のデータを付加することである
  • ストライドは、フィルターを適用する位置の間隔である

 

  • 入力データのチャンネル数フィルターのチャンネル数は対応している
  • フィルターの個数出力データのチャンネル数は対応している
  • 入力データを一束にまとめたバッチ処理を行うことで、ネットワークには4次元データが流れている

 

  • プーリング層は縦横方向の空間を小さくする演算である
  • Maxプーリングとは、各ウインドウの最大値のみを抽出することである
  • プーリング層の特徴として以下の3点が挙げられる

①学習するパラメータがない

②チャンネル数が変化しない

③微小な位置変化に対してロバスト

 

  • im2col関数でフィルター(重み)にとって都合の良いように入力データを展開し、フィルターと積和演算する

 

8章:ディープラーニング

  • さらに認識精度を高めるために、アンサンブル学習、学習係数の減衰、Data Augmentation(データ拡張)などが挙げられる
  • Data Augmentationは、移動、回転、画像の一部を切り出す「crop処理」、左右を反転させる「flip処理」、輝度の変化、拡大縮小、などがある
  • ネットワークを深くすると、多くの問題で性能が向上する

 

  • 代表的なCNNモデルには以下が挙げられる

VGG

基本的なCNN構造。3×3の小さなフィルターによる畳み込み層を連続させている。

 

GoogLeNet

ネットワークが縦方向だけでなく、横方向にも幅があるインセプション構造」を取っている。サイズの異なるフィルターとプーリング層を並列し、その結果を結合する。

 

ResNet

ディープラーニングでは層を深くし過ぎると、逆に性能が劣るということがあった。そこで畳み込み層をまたぐ「スキップ構造」を導入し、入力のxを2層分スキップさせて出力を f(x) + x とすることで、層を深くしても逆伝播で勾配消失が起きにくいモデルにした。

 

  • 転移学習とは、学習済みの重みパラメータのデータを別のネットワークにコピぺすること

 

 

以上。

まとめることでとても自分の勉強になった。

6月25日に自然言語処理版の第二弾が出版されるみたいなので楽しみ。

 

(レポート課題めっちゃ溜まってんのに4000文字も書いてる場合じゃなかった)